(秋元秀俊著)より抜粋

[健全な患者−歯医者関係のためのアドバイス1]
- 歯科の病気、とくに虫歯や歯周病は、元気な人の病気である。元気な人は、自分の病気を自分で診断してしまっていることを自覚すべし。
- 患者は治療法を自分で決めてしまうほど立場が強い。それに対して歯医者は、患者を病人として扱う典型的な医者−患者関係を求めたがることを知っておこう。
- 元気な人の病的な傾向を治療するとき、患者の理解・協力がなければ、治療が始められず、後始末の処置だけになりがちであることを知っておこう。元気な人の病気の治療は、難しいのである。
- 気楽に自分の要望を歯医者に伝えよう。元気な人の病気では、快適さが治療のゴールになるのだ。
- 一流の歯医者は、平凡な診療を楽しむ歯医者であると知るべし。
[健全な患者−歯医者関係のためのアドバイス2]
- 自費治療だからこそ、「高額医療を受けているんだから」という甘えは通用しないことがあると覚悟せよ。
- 新聞記事や雑誌に載っている歯医者を探して受診するあなたは、しばしば自分の受けたい治療について確信に近い固定観念を持っていると自覚せよ。
[賢い歯医者選びのためのアドバイス]
- 歯医者にとって、もっとも大事なのは、病気を診断する能力である。
- 「歯がしみるから神経を取る」のは、頭痛を治すために脳を取るようなもの。
- 上手ヘタよりも、患者のからだを守ろうとする姿勢の違いを評価せよ。
- 「ひどい痛みをすぐ治してくれたから名医」「すぐはずれたからヤブ」「しみるのをすぐ治せないからヤブ」は、必ずしも正しくないと知るべし。
- 痛くなって歯医者に駆け込むのでは、先々を考えた処置は期待できないとあきらめよ。
- 腕の良し悪しは、準備・手順・判断の良さで決まる。準備の良さの基本は、プラークコントロールと承知せよ。
- スタッフが言葉少なくきびきびと動いていることは、重要なチェックポイント。
- 1回のアポイントが30分、贅沢をいえば1時間近くあればマル。
[保険診療と保険外診療についてのアドバイス]
- 勉強熱心な歯医者は「保険の診療」を[本来の医療ではない]と考えている。
- 見かけの大切な治療は、少々高くても、自由な契約で治療を受けた方がトク。
- 歯医者さんが、保険と保険外の違いをちゃんと説明せず、使える材料の違いのように説明するのは、保険証を持参した患者に保険でできない治療をすすめていけないという決まりがあるからである。
[保険診療の問題点についてのアドバイス]
- 保険と自費との違いは、保険契約か自由な医療サービスを受ける契約かの違いであると認識せよ。
- 保険の診療は、歯科医学とは必ずしも一致しない保険の決まりにもとづいて行われていると承知せよ。
- 保険診療の問題は、歯医者さんが患者の口の中よりも、保険のきまりに神経を払い、最適の処置を選ぼうとする倫理観の芽を摘まれていることにある。
[自費診療を受けるときのアドバイス]
- 自費の診療契約では、患者はいわばお客である。患者は自分が受ける医療について十分に知り、自分で判断し、それに同意しなければ、診療は始まらない。
- どうせ自腹を切るつもりなら、早めに、そのことを伝えておいた方がトク。
- 保険と自費の違いは、材料の違いだと説明されるが、本当にそう考えている歯医者さんの自費の診療はダメ。
- プラークコントロールに熱心な歯医者さんでなければ、自費の入れ歯やインプラント治療を考慮する価値はない。
- 小さな虫歯を簡単に削ってしまわない歯科医師であれば、自費の診療でも損をすることはないだろう。
[歯医者の治療意欲の根源にあるものを知るためのアドバイス]
- 悪くなったところの後始末の治療は、ただの後始末ではなく、快適に噛める状態を回復することが、治療の目標である。
- 医者は、私たちが考えるほど自分が患者の病気を治しているという実感をもっていないことを理解しよう。
- かめない人が快適にかめるようになるとき、治療している歯医者は「治した」という実感を強くもつものだと理解しておこう。